2009年02月22日
コーキングのコツ_その3「施工編」
本職が忙しく、なかなか現場に出られない。
…何日も室内にこもってパソコンで作業をしていると、外に出たい欲求が激しくなってくる。
現場での作業は楽しいし、何かに熱中していると、意外なアイデアが湧いてくる(本職の締め切りプレッシャーも…)。
なるべく時間を作って、週に何日かは、現場に出るようにしている。
「昔、R58の椰子の実を取って回った」とか話す、のどかな沖縄の職人たちとの会話も面白いしね。
こんな僕を重宝してスケジュール調整してくれる親方にも感謝!。
というわけで、長文ブログの3回目。
●コーキングのコツ_その1「ならしバッカーの作成」
●コーキングのコツ_その2「道具編」
→ ●コーキングのコツ_その3「施工編」
ここからの作業は、いろんな書籍やホームページでも紹介されているので、僕なりに…。
(シリコン・コーキングの場合の施行例)
■マスキング
最初に、コーキング材がまわりに付かないよう、専用テープでマスキングをする。
マスキング無しで施行する事もあるけど、よほど上手でないと、コーキング材がはみ出て、その後始末に結構手間がかかる。
で、結局はマスキングした方が早かった…という事が多い。(ハイ、何回か失敗済み。でも上手な職人は存在する)
マスキングテープは細いとコーキングがはみ出しやすいし、太いとカーブや角で曲げにくく値段が高い。場所によって使い分ける中で、職人は18ミリ幅のテープを使う事が多いみたい。
ちなみに、楽天とかでケースごと買うと、沖縄までの送料込みでも数千円は安くなる。
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▲角の処理の一例。この方法は仕上げ面をキレイにできる(剥がす方向によっては切れやすい)。
←
慣れると、ほぼ指先の感覚だけで貼っていけるので、スピードが上がってくる。
中指を溝の角に当てて、位置を決め、他の指でテープを押さえていく感じ。
今回の現場では使ってないけど、溝が深い場合は「バックアップ材」というのを奥に詰める。メートル数十円くらい。
■プライマー塗布
一般的に、素材とコーキング材の接着性を高めるため、最初にプライマーを塗る。
沖縄では、これを使わないで施行する石屋さんも多い。石材は接着性がいいようだ。
さて、前に書いたように、シリコン系コーキング材は数年経過すると周りに油染みが出る事がある。
このプライマーには接着性を高める他に、コーキング材からの侵出物を防ぐ効果もある。
今回は撥水コーティングもしてあるし、プライマーもちゃんと塗ったので、2重の膜で侵出が防げればいいなぁ。
(自称、石のお医者さんの僕としては、石材にシリコンコーキングは使いたくないんだけどね。今回は現場の指示なもんで…)
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▲小さなコップは、コーキング材の筒で作った使い捨て用。これ一杯で1~2センチ幅の溝を約50m塗れる。
■コーキング材の充填
読んで字のごとく「充填」。
ノズルをくっつけて、コーキングを押し出して満たしていく。
空気が入らないように(後でポコッと膨らんでくる)、溝から表面が出るか出ないかくらいの分量がベスト。
この充填を丁寧に(均等に)やっておくと、後の行程が楽。
僕は、いつも左手にヘラと筒を持って、右手にガンというスタイル。
右手だけで充填していき、1メートルほど進んだら、ガンを置いて左手のへらを右手に持ち替えてならしていく。
コーキングの筒を交換するときもヘラは離さない。
なので、ノズルが変な方向を向いた時は、左手の内側の柔らかい部分に筒を押しつけて回すようにしている。
これが2液タイプだと、一人が両手で丁寧に充填していき、後から別な職人がならしていくという手も有るんだけどね。(固まるのがゆっくりなので、余裕を持って施工できる。…シリコンはとっても忙しい)
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▲左/中:溝の奥まで満たすように片手で充填していく。右:ノズルの先端が変な方向を向いた時は、左手に押しつけて回す。
■ならし(仕上げ)
平面は「ならしパッカー」で仕上げる。
軽くヘラを押し当てながら、余分なコーキングを掻き取っていく。
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▲T字になった交差部分は、いったん直線をならしてから分岐側をならす。
90度で付き合わされた「入り隅(入隅)」部分は金属ヘラだ。
ヘラを当てる角度で高さを調整しながら、ならしていく。
▲マスキングテープの端がはっきり見える所まで掻き取る。
掻き取ったコーキングは筒に付けておいて、次の溝を充填するときに再利用。
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▲筒になすりつけ、再利用。ヘラは筒でしごいたり拭いたりして、先端を常にキレイにしておく。
シリコン・コーキングは、すぐに固まるので、冬で1分、夏は10秒ちょっとの勝負。
それを過ぎて触ると、表面がぶつぶつになってしまう。
そのため、先に施行した部分に次を塗り重ねる場合は、工夫が必要だ。
例えば、端の部分は奥に押し込んで、表面のコーキングをキレイに除いておく。2~3時間たってから、そっと重ねれば大丈夫。
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▲左:端の処理。奥に押し込んでおく。 右:表面のコーキングは掻き取っておく。
■後処理
できれば、施行当日にマスキングテープを剥がしておく。時間がたつと、テープが切れやすくなるし、コーキングもゴムのように強靱な膜になってくる。
あとは、はみ出た箇所をカッターで削りとって完成。
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▲左:マスキングは筒で巻き取る。中:はみ出しをカット。右:ヘラはボロで拭く。作業中も常にキレイに。
■その他
余ったコーキングは、ノズルを付けておけば数日は大丈夫。
写真のようにキャップを作っておくと、一ヶ月くらい持つ。
(ノズルを火で炙って、上から空き缶を押し当てると簡単)
→ シリコン コーキング剤の保存方法!(自作キャップの作り方)
隙間用の自作工具。
マスキングテープを押し当て、ひもを引くとリリースする仕組み。
というわけで、長文シリーズでした。
作業工程のほとんどは、誰かに習ったのではなくて、あちこちで見たり、工夫したもの。
なので、一部に他と違う部分があるかもです。
物作りの、参考になれば幸いです。
●コーキングのコツ_その1「ならしバッカーの作成」
●コーキングのコツ_その2「道具編」
→ ●コーキングのコツ_その3「施工編」
…何日も室内にこもってパソコンで作業をしていると、外に出たい欲求が激しくなってくる。
現場での作業は楽しいし、何かに熱中していると、意外なアイデアが湧いてくる(本職の締め切りプレッシャーも…)。
なるべく時間を作って、週に何日かは、現場に出るようにしている。
「昔、R58の椰子の実を取って回った」とか話す、のどかな沖縄の職人たちとの会話も面白いしね。
こんな僕を重宝してスケジュール調整してくれる親方にも感謝!。
というわけで、長文ブログの3回目。
●コーキングのコツ_その1「ならしバッカーの作成」
●コーキングのコツ_その2「道具編」
→ ●コーキングのコツ_その3「施工編」
ここからの作業は、いろんな書籍やホームページでも紹介されているので、僕なりに…。
(シリコン・コーキングの場合の施行例)
■マスキング
最初に、コーキング材がまわりに付かないよう、専用テープでマスキングをする。
マスキング無しで施行する事もあるけど、よほど上手でないと、コーキング材がはみ出て、その後始末に結構手間がかかる。
で、結局はマスキングした方が早かった…という事が多い。(ハイ、何回か失敗済み。でも上手な職人は存在する)
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ちなみに、楽天とかでケースごと買うと、沖縄までの送料込みでも数千円は安くなる。
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▲角の処理の一例。この方法は仕上げ面をキレイにできる(剥がす方向によっては切れやすい)。
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慣れると、ほぼ指先の感覚だけで貼っていけるので、スピードが上がってくる。
中指を溝の角に当てて、位置を決め、他の指でテープを押さえていく感じ。
今回の現場では使ってないけど、溝が深い場合は「バックアップ材」というのを奥に詰める。メートル数十円くらい。
■プライマー塗布
一般的に、素材とコーキング材の接着性を高めるため、最初にプライマーを塗る。
沖縄では、これを使わないで施行する石屋さんも多い。石材は接着性がいいようだ。
さて、前に書いたように、シリコン系コーキング材は数年経過すると周りに油染みが出る事がある。
このプライマーには接着性を高める他に、コーキング材からの侵出物を防ぐ効果もある。
今回は撥水コーティングもしてあるし、プライマーもちゃんと塗ったので、2重の膜で侵出が防げればいいなぁ。
(自称、石のお医者さんの僕としては、石材にシリコンコーキングは使いたくないんだけどね。今回は現場の指示なもんで…)
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▲小さなコップは、コーキング材の筒で作った使い捨て用。これ一杯で1~2センチ幅の溝を約50m塗れる。
■コーキング材の充填
読んで字のごとく「充填」。
ノズルをくっつけて、コーキングを押し出して満たしていく。
空気が入らないように(後でポコッと膨らんでくる)、溝から表面が出るか出ないかくらいの分量がベスト。
この充填を丁寧に(均等に)やっておくと、後の行程が楽。
僕は、いつも左手にヘラと筒を持って、右手にガンというスタイル。
右手だけで充填していき、1メートルほど進んだら、ガンを置いて左手のへらを右手に持ち替えてならしていく。
コーキングの筒を交換するときもヘラは離さない。
なので、ノズルが変な方向を向いた時は、左手の内側の柔らかい部分に筒を押しつけて回すようにしている。
これが2液タイプだと、一人が両手で丁寧に充填していき、後から別な職人がならしていくという手も有るんだけどね。(固まるのがゆっくりなので、余裕を持って施工できる。…シリコンはとっても忙しい)
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▲左/中:溝の奥まで満たすように片手で充填していく。右:ノズルの先端が変な方向を向いた時は、左手に押しつけて回す。
■ならし(仕上げ)
平面は「ならしパッカー」で仕上げる。
軽くヘラを押し当てながら、余分なコーキングを掻き取っていく。
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▲T字になった交差部分は、いったん直線をならしてから分岐側をならす。
90度で付き合わされた「入り隅(入隅)」部分は金属ヘラだ。
ヘラを当てる角度で高さを調整しながら、ならしていく。
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▲マスキングテープの端がはっきり見える所まで掻き取る。
掻き取ったコーキングは筒に付けておいて、次の溝を充填するときに再利用。
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▲筒になすりつけ、再利用。ヘラは筒でしごいたり拭いたりして、先端を常にキレイにしておく。
シリコン・コーキングは、すぐに固まるので、冬で1分、夏は10秒ちょっとの勝負。
それを過ぎて触ると、表面がぶつぶつになってしまう。
そのため、先に施行した部分に次を塗り重ねる場合は、工夫が必要だ。
例えば、端の部分は奥に押し込んで、表面のコーキングをキレイに除いておく。2~3時間たってから、そっと重ねれば大丈夫。
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▲左:端の処理。奥に押し込んでおく。 右:表面のコーキングは掻き取っておく。
■後処理
できれば、施行当日にマスキングテープを剥がしておく。時間がたつと、テープが切れやすくなるし、コーキングもゴムのように強靱な膜になってくる。
あとは、はみ出た箇所をカッターで削りとって完成。
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▲左:マスキングは筒で巻き取る。中:はみ出しをカット。右:ヘラはボロで拭く。作業中も常にキレイに。
■その他
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写真のようにキャップを作っておくと、一ヶ月くらい持つ。
(ノズルを火で炙って、上から空き缶を押し当てると簡単)
→ シリコン コーキング剤の保存方法!(自作キャップの作り方)
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マスキングテープを押し当て、ひもを引くとリリースする仕組み。
というわけで、長文シリーズでした。
作業工程のほとんどは、誰かに習ったのではなくて、あちこちで見たり、工夫したもの。
なので、一部に他と違う部分があるかもです。
物作りの、参考になれば幸いです。
●コーキングのコツ_その1「ならしバッカーの作成」
●コーキングのコツ_その2「道具編」
→ ●コーキングのコツ_その3「施工編」
Posted by IGU at 11:20│Comments(4)
│工事現場 関連
この記事へのコメント
自宅のブロック積みにチャレンジしようと思ってますので
とっても参考になります!
IGUさんのブログ毎回楽しみにしてます!
とっても参考になります!
IGUさんのブログ毎回楽しみにしてます!
Posted by *sato at 2009年02月24日 11:04
*satoさんの、のどかなブログ、時々見させてもらってます。
ブロック積み、チャレンジですか? すごい。応援です!
ブロック積み、チャレンジですか? すごい。応援です!
Posted by IGU
at 2009年02月24日 19:59

懐かしいなぁ~ってどこでも書き込んでますけどね(笑
養生の仕方やらヘラの加工なんかも合格レベルですね
僕は現場でヘラを目地に合わせて加工していました
バックアップ材=バッカーで傷の多い目地用のヘラを急造して
対応したりしてました。
だけど、仕事だったので充填したネタ(コーキング剤)は再利用するわけに
いきません(汗
個人的にっていうか、現場の素材に対して「信越」が一番扱い易かったです。
しかし何でもできるんですね~すばらしいですょ(笑)ほんま^^
養生の仕方やらヘラの加工なんかも合格レベルですね
僕は現場でヘラを目地に合わせて加工していました
バックアップ材=バッカーで傷の多い目地用のヘラを急造して
対応したりしてました。
だけど、仕事だったので充填したネタ(コーキング剤)は再利用するわけに
いきません(汗
個人的にっていうか、現場の素材に対して「信越」が一番扱い易かったです。
しかし何でもできるんですね~すばらしいですょ(笑)ほんま^^
Posted by ぺ天使
at 2012年03月12日 15:21

なにげに、上から目線なんですけどぉ (ノД`)
Posted by IGU
at 2012年03月14日 18:19

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