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2011年03月03日

注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!

注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!

ちょっとしたオリジナルパーツを作る際、「型」にプラスチックを流し込んで、固める手法があります。

これを「注型」と言って、「メス型」さえあれば、同じものをいくつも作ることができます。

マニアはフィギュアや携帯電話の透明モデル等、精密なパーツを作ったりしますが、今回は簡易版。
ちょっとした、オリジナルの部品を作りたくなったので、身近な材料で試してみました。


ダウンライトのヒンジを作りたい!


注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!以前、ちらっと紹介した、水道管を使ったダウンライト。
これの、向きを変えるヒンジ部分(蝶番)の構造に、少し悩みました。

ライトを好きな方向に向けるためには、3次元の動きが必要です。
以前、ボールジョイントを作ったことはありますが、今回は電源コードを隠したいので、別の構造を考えてみました。


注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!頭の中にイメージは出来たのですが、どうやって制作したらいいか‥。
何かを削って作るには、サイズが大きいし‥、いくつかの部品を組み合わせると、強度が足りそうにありません。

困った。 ‥部品は6個、必要です。


そこで、注型で作ってみることにしました。


マスター型作り


注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!

最初に、イメージ通りの模型を作ります。
このマスターのモデルから型を取って、複製するわけです。


注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!
▲左:使用したアルミパイプの内径と、乾電池がぴったり! / 右:ワッシャーを両面テープで重ねて、ヘッドを制作。

部屋を捜すと、胴の部分は単三電池。回転部分はワッシャーがちょうど良いサイズだったので、組み合わせてみます。

両方を100均のエポキシパテでくっつけて整形。
適当です(笑)。


型どり


型作りには、不飽和ポリエステル樹脂を使いました。
硬化が早いので、数時間でメス型を作る事ができます。

注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!
▲左:最初は型取り専用シリコンを使いましたが、硬化まで一日かかるのでボツ&やり直し。(僕はセッカチなんです) / 右:マスター型をセットして、樹脂を半分流し込んだ状態。

ダンボールにクラフトテープ(紙のガムテ)をキレイに貼ってから、流しこみ用の型枠を作ります。

マスター型にも、表面にマスキングテープを貼り(樹脂がくっつかない)、液体ワックスを筆で塗って、離型処理。 → FRP離型剤の実験。 身近な代用品を探せ!

下に5mm角のプラスチック棒(下駄)を置いて、マスターを浮かせた状態で、硬化剤を混ぜた不飽和ポリエステル樹脂をマスター外周の半分が埋まるまで、流し込んでいきます。

注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!
▲左:片側の型を取ったら、合わせ目をキッカリ半分の高さまでペーパーで削ります。 / 右:改めて、離型処理。スキマに樹脂が流れないよう、ボンドでコーキング。

硬化後、マスターを取り出したら、合わせ目となる部分を耐水ペーパーで削っておきます。
※最初、油粘土にマスターを半分埋めておくと、この手順が省略できます。(今回は無かったので‥)方法は後日、紹介予定。

型どうしがくっつかないよう、改めて離型処理をしたら、反対側の半分も樹脂を流しこんでいきます。

注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!不飽和ポリエステル樹脂は数パーセントほど縮むので(型が縮みます)、マスターを取り出すのは、無理やりな感じ。

結局、マスターは壊れてしまいましたが、目的は達成したので良し、としましょう。


FRP用、不飽和ポリエステル樹脂を注型


いよいよ注型の本番です。

まず、製品がくっつかないよう、型の内側に離型処理をします。

今回は、自動車用の液体ワックスを筆で塗りこみ、そのまま乾かしました。
完成後の製品の表面に白くワックス成分が残りますが、今回は白いパーツを作るので大丈夫。(ここも適当ですね 笑)

注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!
左:液体ワックスを筆塗り。 / 右:溝用にポリプロピレンをカット。

あと、ヒンジが抜け出ないように溝を作る必要があったので、樹脂がくっつかないポリプロピレンをカッターで切って、リング状にして内部にセット。

注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!
▲左:不飽和ポリエステル樹脂を流しこみ。今回は白色タイプを使用。 / 右:中を空洞にするため、ストローを差し込みます。

両方の型をくっつけ、輪ゴムでしっかりと縛り、不飽和ポリエステル樹脂を流し込みます。

すかさず、中を空洞にするためのストローを中心部に差し込みます。。
(これ、浮いて持ち上がってしまったので、後から針金で抑えるようにしました)

注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!今回は気温が低かったので、樹脂が固まるまで、アンカ(ヒーター)を使いました。

熱が逃げないよう、カップ焼きそばの容器をかぶせて温めると、30分で初期硬化しました。



取り出し! 完成!!


注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!樹脂を触ってみて、ベタつかなくなったら、型を分割します。

スキマにカッターを当てて、軽くひねると、パカっと割れて製品が見えます。

まだもろいので、壊さないように慎重に取り出し。
※本来の強度になるまで、常温では半日~数日かかります。


これで、マスターと同じ形状のパーツが作り出せました。
同じようにメス型に樹脂を流しこめば、何個でも同じものが作れます。

また、透明な樹脂を使えば透き通ったパーツが、アクリル絵の具で樹脂に着色すれば、色つきの部品も作れます。


注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!

念のため、いくつか予備も作って、作業終了。

この作業、けっこう面白いですよ。





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この記事へのコメント
凄い、いろんなものを作る人は知っていますが、
型から作る人はめったに居ません。
とても参考になりました。
Posted by igoten at 2011年03月04日 22:08
こんばんは~
何気にコメント消えてたみたいですね(^_^;)
まぁIGUさんは目を通したみたいですので構いませんが^^
ここに来ると作るんちゅマインドが刺激されますね♪
これからも自分の為、また僕達の為?にガッツリ創作してください!!
めさめさ楽しみにしてます~
Posted by 魔亞 at 2011年03月04日 22:16
◇ igoten さん
コツさえ分れば、簡単な事って、結構有りますよね。
これも、意外と、そんな一つ。

慣れてしまえば、ルーチンのような作業です。

でも、過去に結構、失敗もしているんですよ。


◇ 魔亞 さん
コメントの件、ごめんなさい!
画面は保存してあるのですが、ブログ上からは消えてしまいました‥。

僕のブログでは、「作ることは楽しい!」 ‥それを伝えたいんですが、なかなかマニュアルの域を脱出できません。

やっぱり、たくさん作って、どんどん書くしかないかな。
Posted by IGUIGU at 2011年03月04日 23:31
参考になりました。ありがとうございます。
Posted by 通りすがりのhayazo at 2015年07月10日 13:16
材料はどんなところで入手できますか?あと、費用はどのくらいでせう?
Posted by てれんこぱれんこ at 2015年07月19日 00:38
材料は、ホームセンターでも売ってます。 
1Kg缶で1,200円~ (赤く着色されていることが多いです)

もしくは、通販。 高透明樹脂がお勧め。
⇒ http://www.frp-zone.com/
Posted by IGUIGU at 2015年07月19日 10:33
型取りの材料と注型ポリエステルの品名を教えて頂けないでしょうか
Posted by daitake at 2017年01月27日 18:09
今回の記事では、型取りも注型も、普通のホームセンターで売ってる不飽和ポリエステル樹脂ってのを使ってます。

本来は型取り用シリコンや注型用レジンなど、それぞれ専用のがベストですが、慣れれば何でも有りです。 

そういえば、カインズホームで注型用ポリエステルを売ってるのをみかけたことが有りますよ。
Posted by IGUIGU at 2017年01月29日 21:28
ありがとう御座いました。早速探して見ます。
Posted by daitake at 2017年02月01日 06:56
度々申し訳有りません。
 アマゾンなどで売っているFRPポリエステル樹脂一班積層用などでも成型できるのでしょうか。
 メーカーに聞いたところ、注型用でなければ方に流し込んでの成型は出来ないと言われたのですが、値段が相当開きが有るので出来れば安いもので作れればと思いますが、駄目でしょうか。
Posted by tadaitama at 2017年02月17日 07:19
メーカー推奨以外の方法は自己責任で、失敗しても後悔しない覚悟が必要です。僕は気にしないのでやっちゃいますが。

ひとつアドバイス。 樹脂は硬化する際に熱を発します。 なので使う樹脂が多いと発火の危険が有ります。形状によっては500ccでも危ないでしょう。
また、硬化時にすこし縮みます。 形状によっては離型できなかったりオリジナルを壊してしまう可能性が有ります。 (ブログのどこかに書いてます)

そういった危険と安さ、どっちが大切か考えて、自分で判断してみましょう。
Posted by IGUIGU at 2017年02月27日 22:37
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