今回は、お仕事がらみのお話。
県内某所、とある広い施設の私有地内で、Wi-Fi(無線LAN)を使えるようにしたい」との相談を受け、最新の無線LANについて、調査してみました。
一般的に、業務で使用するなら、信頼性の高い法人向け機種がお勧めではあります。
(→
こんなのとか‥)
が、今回は予算の都合や保守管理、利用人数(規模)の点から、一般家庭向けの機器を選んでみました。
バッファローの最新ルーター、「
WZR-HP-G302H」という、11n対応ハイパワータイプです。
これで、依頼を受けた某私有地内の全域をカバーできるか?
無線LANの到達距離についての実測データは、ネットでもほとんど見かけないので、今回のレビューは、参考になるかと思います。
最新のIEEE802.11n/b/g対応、無線ルーター「WZR-HP-G302H」
今は2010年の12月。現在入手できる最新の無線ルーター「WZR-HP-G302H」についての調査です。
詳しくは、
メーカー・サイトを見て頂くとして、この機種の売りのポイント。
・電波が良く飛ぶ11nハイパワー
IEEE802.11nは、最近、利用が始まった規格で、電波の到達距離と速度が向上しています。
・電波の死角を無くす11n中継機能
同じ機種を複数台使い、中継して(2段まで)電波を飛ばす事が可能。
・簡単設定
ルーター機能(接続したパソコンごとに番号を付けて管理する仕組み)を自動でON/OFF。
親機のネットワーク設定は、特に必要なし(ほぼ自動)。
いやー。最近の無線ルーターは、良くできていますね。
我が家の機器は、数年毎に買い換えてますが(意外と無線ルーターは壊れます)次回が楽しみです(笑)。
ちなみに、無線ルーターの製造メーカーについては、それぞれ評価が分かれます。
価格.COM等で、気になる機種のレビューを
話し半分程度にチェックしておく事をお勧めします。
(あまり詳しくない人が、自分の環境での悪評を書き込んでいる場合があるので注意!)
機器の設定について
まずは、自宅のアパートのベランダに無線ルーターの親機を設置。
適当な段ボールをガムテープで貼り付け、中にルーターを納めて吊します。
無線の子機側は、iPhoneとノートPCでテストしてみました。
iPhoneの方には、GPS機能があるので、これを位置データ取得用に利用します。
例によって、「
GPS那覇マラソン作戦!」でもお世話になった、keiyaさんのスクリプトを利用。
これは、iPhoneのブラウザー「Safari」から、GPSデータをサーバに送る仕組みを無料で構築できるスクリプトです。
僕の書き換えた改造版 ⇒
iPhoneでリアルタイムGPSロガー! Perl Script(その3) ZIP編!
今回はiPhoneからSIMカードを抜き取って、実験してみました。
これにより、「WZR-HP-G302H」の無線が届くエリア内でしか、iPhoneの位置情報をサーバーにアップする事ができません。(携帯の電波は使えない状態)
←
写真:iPhoneのSIMカードを画鋲で外したところ。
そして、ノートPCは去年買ったネットブック
SOTEC C102を使用。(一応、IEEE802.11n/b/g対応です)
これに、無線LANの電波強度が簡単に目視できるソフト「
WiFi SiStr」をインストール。
なんと! 電波の到達距離、最長250mオーバー!!
まずは、iPhoneを持って、近所を歩きまわってみます。
「Safari」でスクリプトの働きを確認しながら、時々、スピードテストのサイトもチェック。
自宅からだいぶ離れても、ベランダのダンボールが見える範囲なら、ちゃんとネットが通じます。へぇ~!!
ネットブックは、自動車に乗りながらチェック。 PCを開いて歩いていたら、怪しいですからね(笑)。
keiyaさんのスクリプトから得たiPhoneのGPS情報をサーバで加工し、Googleマップに落としたのが、上の画像。
地図内の縮尺表示に準じて、距離を示す円を描いてあります。
(僕は自宅を公開する勇気は無いので、地図を消す加工をしてあります)
マーカーの密度が低いようですが、道路しか歩けないので、その点はご了承を!
(僕は沖縄本島の郊外に住んでいます)
もちろん、このマップ以外の箇所も歩いたのですが、無線LANが到達しない地点はプロットされない! という理由もあります。(SIMカード無し)
測定の結果、自宅から最長270m付近でも、iPhoneは無線LANに接続できる事を確認!
(最も遠い地点付近で、複数のサイトを閲覧する事も可能でした)
ちなみに、ネットブックで試した結果は、最大100m程度が限界。
それ以上離れると、急に繋がらなくなります。
以上の結果は、個人的には、かなりの驚き!
(せいぜい40m届くかな? 程度と踏んでいました)
最新の無線LAN、恐るべし!!
到達距離についての結論!
以上の実測データから(子機の機種によりますが)、最新の無線LANでは250mを超えて、通信する事も可能と分かりました。
しかし同時に、途中に障害物があると、電波状況が明らかに悪化する事も確認できました。
沖縄の建物は鉄筋コンクリート造が多いので、建物があると完全に電波が遮られてしまうし、街路樹などで親機が見えない地点でも、かなり電波が弱まっていたようです。
また、直近であっても、玄関のドア(鉄製)を隔てると、極端に電波が弱まり、(玄関近くの)階段を数段降りると、もう完全に切断状態です。
それでも特筆すべきは、iPhoneだと200m付近まで(親機が見えている地点であれば)、意外と通信速度が落ちなかった点。
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画像:iPhoneのアプリ、Speed Testで計測。
おそらく、ある程度の距離を過ぎると、急に電波は減衰していくのでしょうね。
というわけで、結論!
機種にもよるが、100m以内の距離で、親機が見えれば、ほぼ接続できる!
ただし、障害物があると電波が遮られる可能性大!
う~ん。言葉としては、なかなかシンプルにまとまりました。
しかし、逆に言うと、これだけ遠くまで電波は「飛んで」しまいます。
セキュリティについては、十分に検討する必要が有りそうですね。
追記:
速度に関しては、環境の差が大きいので、特に触れていません。
「
WZR-HP-G302H」は300Mbps(規格値)の速度を持っているので、通常の回線なら、大きなボトルネックになる事は無いでしょう。
ノートPCの無線LAN機能は、機種によって性能がかなり異なります。
古いPCの場合、性能向上のために、USBタイプの導入も考慮の価値有りです。
関連記事:
iPhoneでリアルタイムGPSロガー! Perl Script(その1)
iPhoneでリアルタイムGPSロガー! Perl Script(その2)