高演色性の蛍光灯で、見え方はどう違うのか? (色の道Ⅶ)

IGU

2010年09月07日 00:18

昨日、料理の写真等を撮るので、キッチンの照明を高演色蛍光灯に変えた話を書いたんだけど、今日はその続編。‥蛍光灯の交換で、何がどう変わったか?

まずは、アヒル隊長の写真から。


▲左がパルック管で撮ったアヒル隊長。右が高演色蛍光灯で撮った隊長です。

あきらかに、違いますね。

場末(そんな言い方は良くないか‥)の焼き肉屋さんとかに行くと、店内の照明に、安い蛍光灯を使っている場合があります。

そんなお店で、ふと、まわりを見回すと、お客さんの顔が緑に被(かぶ)って見える場合があります。
人間の目は、緑の光を一番明るく感じる特性があるため、蛍光灯は緑色の成分をたくさん出すように設計されています。そのほうが、同じ電力で明るく見せられるからです。

しかし、安い蛍光灯では、赤や青の色の成分が少ないため、どうしても緑に被って見えるんですね。
これは、明るさを売りにする3波長タイプの家庭用の蛍光灯も、同じ傾向。
  (こちらのページが判りやすいです。 → TMP 照明によって、見える世界は違う色?…。


で、焼き肉屋さんでは、デスラーさんやハルクさん達が不健康そうな顔色でワシワシと肉を食らう、一種異様な雰囲気になるんですねー(笑)。

もちろん、僕も彼女も、時々緑の顔をして、肉を食ってます‥。ハイ。


では実際に、どのように見えるんでしょうか?
カメラの設定をいろいろ変えて、擬似的に再現してみました。

素材は、ネットで購入したホームページ用の素材です。
(決して、僕の好みの娘というワケでは無く、肌色がキレイだったので使用しただけです!)

まずは、カメラを太陽光モードにして撮影。

  
▲左がパルック。右が高演色蛍光灯。以下、同。

これこれ! 僕が見た、焼き肉屋さんの世界です。
色に携わる仕事をしている人が、その気で見ると、左の写真のように見えます。

いやいや、人間の目は、自動でホワイトバランスを修正できるし、カメラにも、オートのモードがあるでしょう。
そう考える人もいると思います。なので、オートで撮った写真も載せておきます。

  

かなりマシになりました。でもやはり、肌色の再現性が違います。(唇の色に注目)
カメラのオートモードは、色のバランスをずらして補正するので、完全では無いのです。

元の光に赤色の成分が少ないので、どうしても肌色がのっぺりとしてしまいます。

次に、僕のカメラにあった、他の蛍光灯モードで撮った写真。


▲左から、蛍光灯モード1、2,3。

やはり、肌色の再現は難しいですね。
ただ、単体で見ると、例の人間の目の補正力で、なんとなく普通に見えてしまいます。不思議な能力ですね。

しかし、この能力が、アダになる場合もあります。

女性の方。お化粧をする際、どんな灯りでメイクしていますか?

もし、通常の蛍光灯を使っていると、(緑が被って)どうしても肌色が悪く見えるので、化粧が濃くなったりしないでしょうか。
あるいは、電球を使っていて、蛍光灯で照らされたオフィスの鏡では、化粧が薄く見えたりは、しないでしょうか。

どちらかと言うと、電球が正解です。
電球の演色性は、Ra=100。→ 高演色蛍光灯(色の道 正しい「光」を求めて! Ⅳ)

電球の光には、ちゃんと青、赤、緑、黄色等、色がまんべんなく含まれているので、正しい色が再現されます。勉強になりますねー。




もう少し、詳しく説明します。
例えば、赤と一言で言っても、朱色、ピンク、紅色等、いろいろな種類の赤があります。

全ての物体(発光体以外)は光の反射で、目に色として認識されるので、元の光の性質が重要なんです。
トンネルの中で、全てが黄色に見えるよう、元の光に含まれていない色は、見ることができません。

つまり、蛍光灯では、スペクトルが示す通り、見えない色があるんです。
(実際には、近い色を反射するので、ソレっぽくは見えます)

これは、現場で色の調色の仕事をやっていて、気が付きました。
どうしても色が合わないとき、対象物と自分が作った色を、太陽光の下に持って行って較べると、一目で何色が足りない! って事が判ります。

そこに至るまで、ずいぶん悩みました。
ちゃんと合わせたはずの色が、現場監督が(電球の)懐中電灯で照らしたとき、違う色に見えて、やり直しになっていたんです(泣)。
で、こんな工作をしたんですね。 → 高演色作業灯の作り方(電球型用インバーター使用 色の道Ⅵ) 

と言うわけで、僕はあちこちの灯りを、高演色タイプに変えていこうと思います。

ディスクの照明も、しばらく前に高演色管に交換しました。
→ 三菱 FPL27ANX ツイン蛍光灯 ナチュラルホワイト色

アマゾンでは「優れた演色性」と一言触れられているだけですが、メーカーのカタログを見ると、平均演色評価数Ra95です。

机でも、良く撮影しますから、ここは外せません。

しかし、部屋の灯りはパルックなので、その光があたった所は緑被り。高演色の光があたった所は正常な色に見えるという、悩ましい状況が発生しています。
うーん、困った。


▲机の右側が、緑色に被っています‥。



  色の道 正しい「光」を求めて! (その1)
  簡単-分光器の作り方(色の道 正しい「光」を求めて! Ⅱ)
  撮影用-分光器の作り方(色の道 正しい「光」を求めて! Ⅲ)
  高演色蛍光灯(色の道 正しい「光」を求めて! Ⅳ)
  電球型用インバーターで直管型蛍光灯を点灯(色の道Ⅴ)
  高演色作業灯の作り方(電球型用インバーター使用 色の道Ⅵ) 
→ 高演色性の蛍光灯で、見え方はどう違うのか? (色の道Ⅶ) 



PS:電球型蛍光灯に、パソコンのモニター用の照明管を使った、演色の良いタイプが最近発売されたようです。こんど、テストしてみますね。

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