ネットブックをサーバー化 → 「ネットサーバ」- その2

IGU

2009年07月07日 00:34

消費電力の少ないネットブックを、長時間稼働が前提のサーバーに転用するプロジェクトの第2回。
写真はまだ工作途上の状態。

なにぶん、情報がほとんど無いので、試行錯誤しながら、進めていきます。



■冷却について(ヒートシンクの作り方)

ここが一番悩んだ部分。

ヒートシンクならガラクタ箱にいっぱいあるけど、Atomのコアが小さすぎて、どれも取り付けようが無い。

稼働させながらヒートシンクをいろいろ試してたら、パシッ! チュ~ンとターミネーターが死ぬような音がして、PCがシャットダウン。

ショートしたみたい…。アホだ。


既存のヒートシンクの取り付けが難しいなら、専用に自作した方が早そうだ。

で、適当に切り出したアルミ板をベースとして、アルミのフィンを「固まる放熱シリコーン」で接着する構造で作ってみた。見た目は十分にそれっぽい。


左:最初に寸法を調べる。ヒートシンク用のスペーサーを基準に、atomコアが-4.3mm、945GSEが-3.8mm。
右:ホームセンターで幅25mm、厚さ1.5mm、長さ2mのアルミ板(350円くらい)を、お店の高速切断機で9センチ毎にカット。バリを取って、重ねてバイスに固定してから、再び高速切断機で切り口を整える。


左:4mmのステンレスネジの長いヤツに、5mm用ナット(厚さ4mm)をスペーサーとしてアルミ板を重ねていく。ヒートシンクのフィンの代わりだ。
右:面研(平らな板に紙ヤスリを敷いて、削る事)したフィンに「固まる放熱シリコーン」を塗って、アルミ板に接着。


左:完成したオリジナルのヒートシンク。ノーマルの約7倍くらいの放熱面積がある。
右:CPUとの接続部。atomコア用は2mm×2。945GSE用は2mm+1.5mmの厚さのアルミ板を使用。(固まらないタイプの)放熱用シリコーンを塗り、寸法が狂わないよう、ネジで強固に締め上げる。

…他に、熱を持つ各種ICにも、直付けでヒートシンクを付けておいた。

左:熱を持つintelチップに固まる放熱シリコーンでヒートシンクを接着。
右:もうひとつの熱くなるICにも、アルミ板を介して(ハードディスクと干渉するため)金色のヒートシンクを取り付け。


■電動冷却ファンについて
Aspire ONE AOA150の冷却フィンは、DC5Vタイプ。
いろいろ探したけど、沖縄では5Vで動くファンは見つからない。
とりあえず、どうするかは後から考えることにして、ファンレスで稼働できるか実験。

が、windowsを起動してみると、Aspire ONE の壁紙が出るあたりで、突然シャットダウン。
何度やっても同じだ。

何か変な匂いがするような気もするし、とっても不安。
もしかして、致命的な失敗をしてしまったのだろうか…。あちこちを調べてみる。

ICの足に付いた放熱シリコーンを(導電の可能性を考えて)削り取ったり、金属粉でショートしてないか、全分解してからエアーダスターでゴミを吹き飛ばして組み直してみても、結果は同じ…。

ふと、ノーマルの冷却ファンを付けて起動すると、普通に立ち上がる。で、外して起動すると途中でシャットダウン。
なるほど、冷却ファンが稼働しているかどうかを、マザーボードがチェックしていたんだ。わかってしまえば簡単な事だった。

あと、意外にノーマルの冷却ファンは、裸の状態だと「キーン」という音が気にならない事にも気がついた。多分、障害物が近くにあると、音が大きくなるのだろう。
だったら、これを活用する方向で考えてみようか。


■アルミケースの製作
大まかな造形は、ベンダーマシンで作ってあるけど、前面と後面のパネルはUSBやモニターのコネクターに合わせて精密に穴開けをしないとならない。

ここで、秘密兵器登場。

といっても、どこの家庭にもある(?)スキャナーだ。
これが、このような工作にとっても便利!

(コンビニのコピー機でも代用可能)

僕が使っているのはキャノンのLED70 という、少し前の型のスキャナー。

これでPDFスキャンして、拡大率99.45%で出力すると(僕の場合)、ちょうど原寸大で印刷できる。
(定規とかをスキャンして印刷し、オリジナルとの違いを計算すると、簡単に自分の環境が解るハズ)

前面と後面のパネルをそうやって出力して、1mm厚のアルミ板に両面テープで貼り付けたら、USBやイーサネット、SDカードスロット等の輪郭をカッターでなぞっていく(ケガキと言う)。

多少、デザインの事とか考えながらスケッチして、冷却用の窓とかも書き足して、カッターでなぞったら、紙は剥がしてしまう。


後は、カッターの線を目安に、寸法を切り出し、コネクター類もドリルで穴を開けて、ヤスリやカッターで穴をつないで仕上げていく。

スキャナーとかを活用していた割には、アナログな行程だなぁ。

ハードディスクやマザーボードの取り付けも、同じ。

スキャナーで取り込んだPDFを、イラストレーターでリフレクト(反転)出力して貼り付け、ドリルで穴開けすると、正確な取り付け穴の位置を得ることができる。


■USBポート
マザーボードに元々あるUSB端子は前2個。後ろ1個。
最低でも、プリンター、マウス&キーボード、外付けハードディスクは繋ぐので、USB端子が足らない。市販のハブを組み込んで、後ろ側を4個に増設しておいた。


これもチカラ技の工作。

ハードディスクや干渉する部分を切り取って、USBハブをケースにネジ止め。
ケーブルも短く切りつめて、マザーボード側もステー部分をカッターで切って浮かせて結合してある。

PC自作派の連中が見たら、あきれるだろうな…。


今回はとりあえずここまで。

試しに稼働した感じでは、CPU温度40℃、ハードディスク31℃程度(無負荷時)。

   ネットブックをサーバー化 → 「ネットサーバ」- その1   それって反則?編
→  ネットブックをサーバー化 → 「ネットサーバ」- その2   ヒートシンク制作編
   ネットブックをサーバー化 → 「ネットサーバ」- その3   とりあえず完成編
   ネットブックをサーバー化 → 「ネットサーバ」- その4   まとめ&使い方編

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