FRP用樹脂の硬化時間(実験編)

IGU

2012年06月09日 20:49




今回も、マニアックなネタ‥。

僕は、仕事や趣味の工作で、FRP樹脂をよく使います。

FRP用の不飽和ポリエステル樹脂は、安くて透明で造形が自由。
工作にいろいろ応用できる、面白い素材です。
→ 「レジン」の代用に! 不飽和ポリエステル樹脂の まとめ。
→ FRPで自作。オリジナル「半ギブス」作り。
 ‥他、このブログを 「 樹脂 」 で検索すると、イロイロ関連記事が出てくると思います。


さて、このFRP樹脂。
メーカーや種類によって、それぞれ硬化時間が異なります。

‥なので、作業をはじめてから、どのくらいのタイミングで硬化が始まるのか?
これを知っておく事って、なかなか重要な要素です。


硬化が早すぎると、手順が間に合わない事があるし、遅すぎると、ちょっとしたスキマから樹脂がどんどん流れだしたりします。

近々、大型の工作をする予定があるので、硬化時間の目安を調べてみました。


僕はいつも、埼玉のFRP-Zoneさんから、通販で樹脂を取り寄せています。

今回、実験した樹脂は、以下の3種類。

1,サーフボード用(ほぼ透明。紫外線吸収剤入りで、黄変無し)
2,ハードタイプMD-PH(成形一般積層用)
3,イソ系ハイグレード複合樹脂(耐熱・低収縮の、メス型用)




ちなみに、アパートのベランダで、各種樹脂を暴露試験(ばくろしけん:自然環境下で放置)しています。

このブログで、毎回お勧めしている透明なサーフボード用樹脂は、沖縄の日差しの下で2年半以上経過して、ほとんど変色は見られません。



というわけで、前置きが長くなりましたが、どのくらいの時間で硬化するか、結果発表です!

2回チェックして、硬化が早い順に、以下の並びとなりました。

1,サーフボード用樹脂 → 4~5分でゲル化。
2,ハードタイプMD-PH → 6~8分でゲル化。
3,イソ系ハイグレード → 22~27分でゲル化。

チップ・サイズはそれぞれ約3グラム。
硬化剤は、約1.25%です。  (0.125g✕3滴 → 硬化剤 …その一滴の重さ

中にゼリー状の固まりが出来て、筆塗りができなそうになるまでの時間を測っています。

※半年程度、室内保管した樹脂です。 新品の場合は、多少数値が異なると思われます。
※樹脂の厚みや容積が大きくなると、熱がこもるので硬化が早くなります。 少ない場合は、逆。





なるほど~!
銘柄によって、意外とバラつきがありますねー。

個人的には、サーフボード用の透明が扱いやすいのだけど、時に硬化が早すぎるのが欠点。
試しに、サーフボード用とイソ系ハイグレードを半々で混ぜてみると、硬化時間は8分となりました。 色や透明感も、積層用途なら、それほど気になりません。

‥ってことは、混合比率を変えていけば、硬化時間をある程度コントロールできそうな感じもします。 (メーカーさんは、決して勧めないとは思いますが‥笑)

← 写真:下段左から、サーフボード用、ハードタイプMD-PH、イソ系ハイグレード、サーフボード用とイソ系ハイグレード混合。 (右上、および最上部の写真も、同じ並び)


というわけで、僕的には、とても役に立つ実験でした。

こういうくだらないテストを積み上げていくのも、経験の一つ。
物づくりのノウハウが、また一つ手に入りました。


FRP工作をする人は、手持ちの樹脂の硬化時間、測っておくと作業が捗りますよ!


追記:ハードタイプMD-PHと、イソ系ハイグレードを、暴露試験に追加しました。 結果は、数年後です‥。



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