ペンキ詰め替えスプレーを作る! その1 (失敗編)

IGU

2011年05月21日 23:54

僕の、この「作る人(つくるんちゅ)」ブログは、「物作りって、楽しいよね!」 を、テーマに書いてます。

しかしながら、工作に失敗は付き物‥。

久々に、とことん失敗したので、ネタにしちゃいます。
なぜ、どうして‥、うまく行かなかったのか? そんな結果も、情報になるハズ‥。


さて、今回のテーマの、「ペンキ詰め替えスプレー」を考えたキッカケは、缶スプレーを自由に詰め替えて使えたら、便利だと思ったから!

っていうか、調色をしながら、広い範囲のアチコチを塗ってまわる仕事が来て、必要に迫られて作ってみたというのが、ホント。 (重いコンプレッサーや電源を考えると、移動は難しいのです)


以前、おふざけで作った「醤油スプレー」が、とてもカンタンだったので、甘く考えていました。
→ 醤油スプレーの作り方!




缶スプレーのエア圧とは?


最初に予備知識を仕込みます。 インターネットって、ホントに便利。


缶スプレーは、内部のガスの圧力で液体を噴射する仕組みです。

内容物は、殺虫剤からペンキや撥水剤など様々ですが、それらを押し出すために充填されているガスは、代替フロンかLPGが一般的。

いったい、どのくらいのエア圧なのでしょうか?

検索すると、一般的な、代替フロンを使ったスプレー缶のエア圧は0,51~0,57Mpとの事。
→ 缶内蒸気圧は HFC-134a=0,57Mp/20℃ HFC-152a=0,51Mp/20℃


なるほど、‥コンプレッサーよりは、低いみたいですね。


ペットボトルの耐圧性(&気圧の単位)


これから作る、「ペンキ詰め替えスプレー」の容器。
まずは、ペットボトルをベースとして、考えてみます。

いったい、ペットボトルの耐圧性とは、どの程度なのでしょうか?

‥調べてみると、6気圧程度との情報を発見。


気圧の単位って、いろんな種類があって解りにくいけど、調べてみると以下のような感じです。
1気圧(atm)=1013.25hPa(ヘクトパスカル)=1013.25mbar(ミリバール)=0.101325MPa(メガパスカル)=1.033231kgf/CM²(重量キログラム毎平方センチメートル)

上記を当てはめると、
スプレー缶圧力:0.57MP(20度) < ペットボトル耐圧:0.60795MPa(6気圧)

ギリギリだけど、なんとか、行けそうかな? (ガス圧は、暑いと高まります。今回は、あくまで実験です)

(※後日、ペットボトルの耐圧に関する別情報を発見。)


実験1! 「ペットボトル詰め替えスプレー編」


ペットボトル本体は、ペット樹脂。 キャップは、ポリプロピレン製が多いみたい。
ポリプロピレンは接着が難しく、強度は高くありません。

ここに、スプレーノズルとエアバルブを付ける方法をいろいろ考えてみました。

今回はシンプルに、キャップの上からスプレー容器をかぶせる構造で実験。




ちょうど、小型缶スプレーの容器が、キャップより数ミリ大きく、ヘッド部分にエアバルブを付けると、目的の構造にできそうです。

しばし、工作。


完成したオリジナルボトルに、エア缶からガスを注入して行きます。
キーンと言うような音とともに、高まっていくエア圧と緊張感!

ボトルを触ると、まるで石のようにカチカチで、弾力性が感じられません。

おそらく、自動車用タイヤの倍ちかい圧力が、内部にかかっていると思われます!
大丈夫かな!?

数秒後‥。

突然、ポーン! と音がして、スプレー部分が吹き飛びました。
「おやーっ!!!」(驚いたときの僕の口癖)


一応、アルミをカシメておいたのですが、エアの圧力には耐えられなかったようです。

それにしても、突然、壊れるパターンはコワイなぁ。


万が一、ペットボトルを何かにぶつけたり、キズを付けた場合、そこから破裂する危険もあります。
→ 圧縮空気の危険性

スプレーを吹くとき、顔の近くで扱う事を考えると、ちょっとヒヤヒヤものですね。


実験2! 「100均シグボトル詰め替えスプレー編」


吹っ飛んだスプレー部分を強化する事も考えましたが、ペットボトル本体の破裂がコワイので、もっと強度の高そうな容器を探します。

100均で見つけた、シグボトル。 (315円商品)
ペットボトルやスプレー缶よりも、強度が高そうです。

さて、今回の実験中、何本もの新品スプレーをカッターで切り開いてみましたが、アルミや鉄の容器の場合、開けた穴は広がらず(突然、破裂はしない)、万が一の場合でも、対処の余裕がある事が判りました。 (小さな穴からガスが噴射され続けます)

ペンキが吹き出しても、手で抑え、すぐにウエスでくるむ事も可能でしょう。
金属容器なら、なんだか安心な感じがします。

注:内部圧力にもよります。スキューバ・タンク破裂の事故とかも聞きますね。



さっそく、ボトルを改造。
缶スプレーから、ノズル部分のみを切りだして、キャップに取り付け加工。

ガス注入用のエアバルブは、ボトル本体に付けてみます。
そのバルブを石材用樹脂で内部から固定。 (3分で硬化し、15分で切削できる、着色性に優れた高硬度のパテです。)

樹脂が硬化したら、エアを充填。
再び、キーンという音とともに、緊張が高まります。


やがて、音が止まりました。 しばしの静寂‥。 今度は、大丈夫か‥?
スプレーノズルを押すと、プシューっとエアが吹き出します。 やったね!!


が、ふと手元を見ると、キャップが歪んで外れかかっています。
あっあっ、やべーっ!! 慌てて、ガス抜き! 

もう少しで、キャップが「発射」されるところでした(汗!)。
見ると、ネジが圧力で削れています。(このボトルのキャップは、ポリプロピレン製‥。こんな使われ方は、想定外のようです。 笑)


というわけで、この日の工作は、全て失敗! orz

ふだん何気なく使っているスプレーですが、中の圧力は相当なもの。 
ちゃんとした容器でないと、とても耐えられる気圧では無さそうです。


そう言えば缶スプレーって、あまりに身近で、内容物が「圧縮された液化ガス」ということを知らなくていいというのも、なんだか怖い気がしますね。

失敗には終わりましたが、‥今回の実験の結果、圧縮空気の取り扱いは、素人の流用・代用レベルでは危険! という事が判りました。

チャレンジするなら、ちゃんと専用に工作しないと‥。

‥続く(たぶん)。


PS:ペットボトル、怖い!
→ コーラにメントスを入れ、ペットボトルロケットにして遊んでいた男がコーラに逆襲される

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