注型(流し込み)での、簡易プラスチックパーツ作り!

IGU

2011年03月03日 21:55



ちょっとしたオリジナルパーツを作る際、「型」にプラスチックを流し込んで、固める手法があります。

これを「注型」と言って、「メス型」さえあれば、同じものをいくつも作ることができます。

マニアはフィギュアや携帯電話の透明モデル等、精密なパーツを作ったりしますが、今回は簡易版。
ちょっとした、オリジナルの部品を作りたくなったので、身近な材料で試してみました。


ダウンライトのヒンジを作りたい!


以前、ちらっと紹介した、水道管を使ったダウンライト。
これの、向きを変えるヒンジ部分(蝶番)の構造に、少し悩みました。

ライトを好きな方向に向けるためには、3次元の動きが必要です。
以前、ボールジョイントを作ったことはありますが、今回は電源コードを隠したいので、別の構造を考えてみました。


頭の中にイメージは出来たのですが、どうやって制作したらいいか‥。
何かを削って作るには、サイズが大きいし‥、いくつかの部品を組み合わせると、強度が足りそうにありません。

困った。 ‥部品は6個、必要です。


そこで、注型で作ってみることにしました。


マスター型作り




最初に、イメージ通りの模型を作ります。
このマスターのモデルから型を取って、複製するわけです。



▲左:使用したアルミパイプの内径と、乾電池がぴったり! / 右:ワッシャーを両面テープで重ねて、ヘッドを制作。

部屋を捜すと、胴の部分は単三電池。回転部分はワッシャーがちょうど良いサイズだったので、組み合わせてみます。

両方を100均のエポキシパテでくっつけて整形。
適当です(笑)。


型どり


型作りには、不飽和ポリエステル樹脂を使いました。
硬化が早いので、数時間でメス型を作る事ができます。


▲左:最初は型取り専用シリコンを使いましたが、硬化まで一日かかるのでボツ&やり直し。(僕はセッカチなんです) / 右:マスター型をセットして、樹脂を半分流し込んだ状態。

ダンボールにクラフトテープ(紙のガムテ)をキレイに貼ってから、流しこみ用の型枠を作ります。

マスター型にも、表面にマスキングテープを貼り(樹脂がくっつかない)、液体ワックスを筆で塗って、離型処理。 → FRP離型剤の実験。 身近な代用品を探せ!

下に5mm角のプラスチック棒(下駄)を置いて、マスターを浮かせた状態で、硬化剤を混ぜた不飽和ポリエステル樹脂をマスター外周の半分が埋まるまで、流し込んでいきます。


▲左:片側の型を取ったら、合わせ目をキッカリ半分の高さまでペーパーで削ります。 / 右:改めて、離型処理。スキマに樹脂が流れないよう、ボンドでコーキング。

硬化後、マスターを取り出したら、合わせ目となる部分を耐水ペーパーで削っておきます。
※最初、油粘土にマスターを半分埋めておくと、この手順が省略できます。(今回は無かったので‥)方法は後日、紹介予定。

型どうしがくっつかないよう、改めて離型処理をしたら、反対側の半分も樹脂を流しこんでいきます。

不飽和ポリエステル樹脂は数パーセントほど縮むので(型が縮みます)、マスターを取り出すのは、無理やりな感じ。

結局、マスターは壊れてしまいましたが、目的は達成したので良し、としましょう。


FRP用、不飽和ポリエステル樹脂を注型


いよいよ注型の本番です。

まず、製品がくっつかないよう、型の内側に離型処理をします。

今回は、自動車用の液体ワックスを筆で塗りこみ、そのまま乾かしました。
完成後の製品の表面に白くワックス成分が残りますが、今回は白いパーツを作るので大丈夫。(ここも適当ですね 笑)


左:液体ワックスを筆塗り。 / 右:溝用にポリプロピレンをカット。

あと、ヒンジが抜け出ないように溝を作る必要があったので、樹脂がくっつかないポリプロピレンをカッターで切って、リング状にして内部にセット。


▲左:不飽和ポリエステル樹脂を流しこみ。今回は白色タイプを使用。 / 右:中を空洞にするため、ストローを差し込みます。

両方の型をくっつけ、輪ゴムでしっかりと縛り、不飽和ポリエステル樹脂を流し込みます。

すかさず、中を空洞にするためのストローを中心部に差し込みます。。
(これ、浮いて持ち上がってしまったので、後から針金で抑えるようにしました)

今回は気温が低かったので、樹脂が固まるまで、アンカ(ヒーター)を使いました。

熱が逃げないよう、カップ焼きそばの容器をかぶせて温めると、30分で初期硬化しました。



取り出し! 完成!!


樹脂を触ってみて、ベタつかなくなったら、型を分割します。

スキマにカッターを当てて、軽くひねると、パカっと割れて製品が見えます。

まだもろいので、壊さないように慎重に取り出し。
※本来の強度になるまで、常温では半日~数日かかります。


これで、マスターと同じ形状のパーツが作り出せました。
同じようにメス型に樹脂を流しこめば、何個でも同じものが作れます。

また、透明な樹脂を使えば透き通ったパーツが、アクリル絵の具で樹脂に着色すれば、色つきの部品も作れます。




念のため、いくつか予備も作って、作業終了。

この作業、けっこう面白いですよ。

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